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コラム

入力を徹底させるための7つのステップ

 

入力がめんどうくさい

 

前回は「大事なことはめんどうくさい」というタイトルで、SFA/CRMに関連する“めんどうくさい3つの壁” ――― ①見える化がめんどうくさい ②入力がめんどうくさい ③データ分析がめんどうくさい ――― を紹介しました。今回はその中の2番目「入力がめんどうくさい」にスポットを当てます。

 

入力を徹底させるための7つのステップ

 

SFA/CRMの入力を徹底するために、人事評価で支えるのもひとつの手です。必ずしも本質的な解決策とは言えませんが、ツール導入・入替当初、入力が習慣づくまで期間限定で、人事評価項目のひとつとするのです。

 

今回はそこに至るまでの「入力を徹底させるための7つのステップ」について解説します。7つのステップとは、①目的の明確化 ②メリットの説明 ③リーダーの強い意志 ④データのフィードバック ⑤使い勝手の改善 ⑥習慣づけ ⑦人事評価で支える を指します。以下ステップごとに解説します。

 

①目的の明確化

まず基本的なことですが、SFA/CRMなどのITツール(以下“SFA/CRM”、“ITツール”、“ツール”、“システム”などを文脈に応じて使い分けます)を導入・入替える場合、その目的を説明する必要があります。当たり前のことですが、実際はこのステップを端折ったり、十分行っていないケースが多いのです。

 

何のためにシステム導入したのかという目的が現場にちゃんと伝わっていないと入力率は上がりません。本来意図していたのと違う使い方をされてしまうこともよくあります。現場の嫌がる行動管理や、単なる数字の集計ツールなどです。

 

「先にシステム導入ありき」で目的をあまり深く考えていないと説明すらできません。ツールというハードの前に必要なソフトの部分 ――― そもそもの営業戦略・戦術ができていないと、ツールを入れてもベンダーにすすめられた借り物の運用になってしまい、使われなくなるのは時間の問題です。

 

よくある営業強化のためのSFA/CRM導入や入替の目的としては、例えば

◆新規顧客開拓強化

◆営業活動や案件進捗の見える化

◆営業の効率化・生産性向上

といったところが挙げられます。

 

その他現在のWithコロナの時代であれば、「テレワークの見える化」や「ハイブリットワークへの移行」といった直近の課題解決もあるでしょう。

 

②入力のメリットの説明

入力のメリットは立場ごとに異なるので、整理して説明する必要があります。

メリットの例を、営業担当 / 管理職 / 経営者の3階層に分けて見ていきましょう。

(図)立場ごとのメリット

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(営業担当のメリット)

・会議時間短縮、会議用資料作成の負荷低減

・「やるべきこと」の漏れ防止

・「できる営業」の勝ちパターンを学べる

・効率的かつ継続的に、目標達成~業績アップが可能になる

・人事評価でプロセスも見てもらえるのであれば、普段のがんばりが認められる

 

(管理職のメリット)

・ 案件進捗状況を見える化できる

・ 属人化しているノウハウ共有による営業員の底上げ

・ データに基づいた客観的・建設的なアドバイスが可能に

・ 勝ちパターン、負けパターンの分析で勝率アップ

・ 各営業の強み/弱みを活かしたチーム営業の実現

 

(経営者のメリット)

・ プロセス指標(KPI)モニターにより、正確な業績予想が可能に

・ 効率的に業績アップできる営業体制の確立

・ 業務全体の俯瞰図ができるため、課題の真因を特定しやすい

・ 科学的なマネジメントのできる後継者育成

・ 正確な営業実態把握による営業力強化のための組織変更

 

③リーダーの強い意志

SFA/CRMを新規導入した直後の入力率を測ると、だいたい60%前後からスタートします。そして、何もせず放っておくと段々入力率が下がっていき、そのうち使われなくなってしまう・・・ というパターンをたどるのが普通です。

 

そこで、導入直後から入力率を高めていく工夫が必要になります。例えば、経営から支店長・部長クラスまでが集まる会議体などで、1ヶ月に1回くらい最初は名前は出さずに入力率を発表します。しばらくすると入力率が悪い部署がわかってくるので、次にタイミングを見て実名入りで公表。そうすると、名指しされた責任者は慌てて部下にはっぱをかけるので、入力率は短期的にはアップします。

 

ただこれで安心してはいけません。上司が目的を理解せず活用していないところは、また時間が経つと徐々に下がってきます。この段階でSFA/CRMを活用する組織のリーダーとしての覚悟が問われます。場合によっては、どうしても入力を頑なに拒む部署の責任者や当事者とひざを突き合わせて話をし、説得するようなところまで求められます。

 

慣れてメリットを実感するまでは、入力の手間に対する不満が多かれ少なかれ出てくるものです。経営や組織長などのリーダーは、部下に好かれたいと思っていい人になってはいけません。目的達成のために信念を持って、自分もツールを見て活用しいることを行動で伝えなければなりません。成功に向けて現場と一緒に入力率改善というハードルを乗り切る覚悟が求められます。

 

(参考サイト)

SFA/CRMが活用されない9つの失敗パターン

大事なことはめんどうくさい?

 

④データのフィードバック

ツールを導入したメリットをわかりやすく示すために、データのフィードバックを必ず行ってください。せっかく入力させておきながら溜まったデータを活用しないと、逆に失敗パターンにつながります。

集計データの振り返りをめんどうくさがらずに、慣れない初期の頃は操作や見方もわかりすく教えながら、ツール導入でよくなった点を具体的に実感してもらうためのフィードバックを定期的に行ってください。

 

メリットは、②入力のメリットの説明/立場ごとのメリット のところで挙げたような「できる社員の勝ちパターンを学べる」「めんどうくさいエクセルなどの集計作業がなくなる」「案件進捗やKPIがリアルタイムで見れる」「アドバイスもしやすくなる」などです。

具体的には、有効営業時間分析のように、営業の行動パターン見える化に役立ててもらいたいです。もっと詳しく見たい方は「有効営業時間がどれくらいあるかご存じですか?」も参考にしてください。

 

⑤使い勝手の改善

SFA/CRMなどのシステムは導入して終わりではありません。しかし、導入は大変なので、プロジェクトが終わるとホッとして「やれやれ」という感じになってしまい、「あとは現場でヨロシク!」というパターンになりがちです。

 

稼働開始後も現場の意見を取り入れながら、使い勝手を良くしたり、プロセスを見直したりする必要があります。少しずつでも使い勝手をよくしていかないと、ほんのちょっとした理由で現場は使わなくなります。(営業は使わない理由を見つけるのはとても上手です。)

使い勝手改善要望に対する対応についてですが、すべてをまともに聴く必要はありません。現場は好き放題言ってくる傾向もあるので、予算なども考え本当に必要なことを見きわめながら、3割くらいを目途に反映するのがコツです。そうすると、現場もすべてではなくても大切なところは意見を聞いてくれている、と感じるので費用対効果的にも有効です。

 

以前はモバイル環境やアプリの反応速度の遅さのなどツールだけでは限界のある問題もありましたが、今はスマホでいつでもどこでもストレスなく入力できるので隔世の感があります。テレワークではWiFi環境の差がありストレスを感じる場合もあるかもしれませんが、少なくとも「遅さ」は本質的な問題ではなくなっています。

 

⑥習慣づける

入力を当たり前のこととして習慣づける。言うのは簡単ですが、実際には皆さん結構苦労されています。特効薬はITツールを使わないと業務が回らないようにすることです。

 

ある大手飲料メーカーでは、スケジュール管理 ― 顧客履歴管理 ― 提案資料共有 ― 報告 ― 実績入力~集計~分析といった一連の仕事の流れを、ひとつのITツール入力で完結するように、システム連携を行いました。するとそれまでは、ツールを使わなくても仕事が回っていたため、どうしても入力を徹底することができなかったのですが、その課題を解決することができました。

→ 事例の詳細はこちらをどうぞ「事例紹介(6) プロセス評価で業務プロセスの大改革

 

いったん入力という行動が当たり前化すると、それまでの文句はどこへやら。できない理屈を超えて自然と入力が習慣化されます。でもこのようなスマートな手が使えない場合はどうすればよいのでしょうか。その場合は、次の⑦人事評価で支えるという手があります。

 

⑦人事評価で支える 

本質的な解決策ではありませんが即効性の期待できる手としては、ITツール導入・入替当初は、入力を人事評価で支えるという方法があります。入力率が上がりシステム運用が定着するまでの、導入初期の短期間に限って、人事評価の項目のひとつに「入力」を加えるわけです。

 

ITツールと人事評価はあまり関係なさそうなので、あるいは、システム担当と人事担当は普通は交わらない別な部署なので、あまり知られていませんが「人事評価のアンマッチ」という裏の失敗パターンもあります。システム導入の目的と人事評価が合っていないということです。

 

例えば、目的として「営業強化のためのプロセス見える化」を進めようとして、経営者やリーダーがいくら「SFA/CRMにちゃんと入力して活用するように」と唱えても、人事評価が従来通り〝結果の数字〟しか見ていない場合、現場の担当者にとっては面倒くさいことが増えるだけで、何のメリットもありません。

メリットがなければ、真面目に取り組もうとする社員が少ないのは当然です。そのため、本来の意図が理解されずに、「また、上が変なことを言い出したよ・・・、忙しいから適当にやっておこう」くらいにしかとってもらえず、失敗につながるケースも出てきます。だから①目的の明確化で、目的の大切さを強調しているわけです。

 

このように、ITツールの活用、そしてその先にある大きな目的である営業変革を、人事評価でも支えるのが実は大切なポイントなのです。

そこでフリクレアでは、成果につながりやすいプロセスを見える化して人事評価と結びつけ、人々のがんばりを支えるプロセス主義®  ~ 見える化&プロセス評価による人事イノベーション ~という、成果主義の次の時代を担う新しいコンセプトを提唱しています。

ご興味のある方は続けてこちらもどうぞ → 〝進化したプロセス評価®〟による人事制度・評価コンサルティング

 

 

今回も最後まで読んでいただきまして、ありがとうございました。

SFA/CRM活用で悩まれている方、業績アップを人事評価で支える戦略人事にご興味のある方は こちらからご連絡ください。

 

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()フリクレア 代表取締役

山田和裕


(2021年11月25日)

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