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コラム

マネジメントとは結果や人を管理することではない

 

管理とマネジメントの違い?

 

営業のみならず経営全般においては「管理」という言葉がよく使われます。管理という言葉はあまり好きではないので、フリクレアでは管理ではなく、マネジメントという言葉の方を意識的に使うようにしています。普段はあまり気にすることはないと思いますが、今回は経営の基本である「マネジメント」という言葉について、一歩突っ込んで考え方を整理してみたいと思います。

 

マネジメントという言葉は、ビジネスの世界においてはあまり意識しないまま当たり前のように使われていますが、その概念を提唱したピーター・ドラッカーの意図を改めて確認してみると、本来の趣旨からはずれていることに気づきます。

ドラッカー自身もマネジメントを定義することの難しさを認めていて、「マネジメントという言葉は難しい言葉である。完全なアメリカ英語であって、イギリス英語を含めいかなる外国語にも翻訳できない。それは機能であって、かつ人である。社会的な地位であって、一つの体系、研究分野である。」としています。(『マネジメント(上)』P5

マネジメントとは結果や人を管理することではない

 

 

マネジメントの生みの親 ― ドラッカーの定義

 

マネジメントの生みの親であるドラッカーの考え方にそって、上位概念である組織や企業という視点から見ていくと、次の3段論法でマネジメントを定義することができます。

ドラッカー曰く、①企業の目的は顧客の創造である。 ②その顧客創造という成果をあげるためにマネジメントは存在する。③そう考えると、「マネジメントとは組織が成果をあげるための人・職能・仕組みである」と定義できるという論理展開です。

 

これだけだとちょっと抽象的でピンとこないかもしれないので、少し視点を変えてみましょう。逆に、マネジメントの狭義の否定解釈を比較対象として挙げてみました。

 部下の管理だけを指すわけではない

 経営トップや上司を意味するわけではない

 権力、地位や階級の意味でもない

 

マネジメントとは結果や人の管理ではない

 

マネジメントをフリクレアの得意なプロセスマネジメントに置き換えて考えてみましょう。マネジメントは、日本語では「管理」とよく訳されます。従って、「プロセスマネジメント」は「プロセス管理」とも言いかえることができます。しかし、この「管理」という言葉は、「上長が部下の行動を監視する」とか、「指示したことがきちんと実行されるよう統制する」というような経営やマネージャ側からの視線で、人を信用していないネガティブな印象やニュアンスに受け取られることもあります。

 

このような誤解を避けるため、フリクレアでは「マネジメント」を、動詞「manage」の「~をなんとかなし遂げる」という解釈から、次のように定義しています。

「目標や経営課題を、会社の限られた資金と人財と時間を使い、様々な制約要因や予期しない突発的な状況変化にも柔軟に対応しながら、なんとかうまく達成・解決していくこと」

 

営業ではマネジメントを、結果の数字や人の行動を管理することのように履き違えているケースがよく見られます。しかし、プロセスマネジメントでは、結果や人を管理するのではなく、問題となっているプロセスを見える化して成果を出しやすい方向に導きます。

 

会社には、誰もがなんとなくおかしいと感じながらも、そのやり方でこれまでやってきたから、というような根拠のない理由で放置されていることが多くあるもの。そのようなささいな疑問も見逃さず、見える化を図りながら本質的な視点で気づき改善していくのが、プロセスマネジメントを実践するための大切な基本精神でもあります。

 

参考文献:

『マネジメント(上)』『ピーター・ドラッカーのマネジメント論がわかる本』『図で読み解く!ドラッカー理論』(ピーター・ドラッカー)

 

(初稿2018年4月27日 → リライト2021年4月17日)


(2018年04月27日)

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