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コラム

(営業の課題解決③) 営業のPDCAが回せない

 「PDCAを回す」。本社の営業統括や企画部門が好きな教科書的なテーマです。そして彼らはこう簡単に考えがちです。「うちの現場は仮説検証ができていない。PDCAを回せばよいのになぜやらないのだ」と。

 

 ところが実際は、PDCAを回す前に、別の初歩的な問題に突き当たります。それは現場もPDCAを回す重要性はわかっていても、忙しすぎてPDCA分析に取り組む時間がないという現実。

 通常の業務以外にも、本社からの施策対応、雑務や日々起こる現場オペレーションに追われ、本来やるべき業務に集中することができないというのです。そもそも現場リーダーの仕事とは何か定義されておらず、プレイングマネージャー化しており、一般社員と仕事の内容に差がない場合も多く見られます。

 ここまでは表面的な現象ですが、さらに現場が忙殺される原因を掘り下げてみると、時間不足を引き起こす負の連鎖パターンが存在することに気づきます。基本的な作業のマニュアルや手順書が存在しない。なので、何をやるにも一から自分で考えなければならない。その結果、先人達も経験したであろう同じ悩みの解決に無駄な時間を費やしてしまう。「初歩レベルの業務標準化ができていない」という課題の真因にようやく行きついたわけです。

 良くいえば  —— 試行錯誤しながら努力している ——  と考えられなくもありませんが、悪くいえば  —— 学習せず無駄な失敗を繰り返している —— とも言えます。これは、管理システムの不在を意味します。

 

 要するに、そもそもPDCAを回すレベルに至っていない。PDCAを回す以前の問題を解決しなければPDCAを回すことは永遠にできない。そういったお寒い状況の露呈。

 

 では、どうすればPDCAを回す土壌がつくれるのか。解決の道を探らなければなりません。その解決ヒント~方向性~シナリオは、以下のように考えることができます。

 

 〔解決のヒント〕

 PDCAを回す時間を捻出するために、忙しい原因(手間がとられている業務)を具体的にプロセスで明確にして、ボトルネックを解消する。

 

 〔解決の方向性〕

 まず、現場リーダーが集中すべきやるべき仕事を具体的にプロセスで示す。次に、やるべき仕事に集中するために、業務や雑務を任せられる人財育成の仕組みをつくる。

 

 〔解決のシナリオ〕

 やるべき業務に注力できる環境作り:

 ①仕事を効率的に回すための、人財育成の仕組づくり

 ②業務詳細の手引書作りと、トレーニングシステムの整備

 ③現場の運用にマッチした、人事評価制度の再整備・運用見直し

 ④組織的な業務の効率化 → 分業やチーム制による仕事の負荷軽減

 

 お題目ではPDCA改善を掲げながらも、実際それができている組織は多くありません。業務の標準化や人財育成の仕組みづくりという基礎を固めない限り、その応用編であるPDCAを回すことは永遠に期待できません。これが営業のPDCAを回す処方箋です。


(2016年03月18日)

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