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コラム

イエスマン人事

 日本の人事評価の真の問題は二つあります。

 一つは、目的、設計、運用、負荷の問題です。そしてより重要なのが、もう一つの側面である企業の組織文化です。組織文化の問題としては以下の3点があげられます。これらが、公正な人事評価制度を行う上で妨げとなっているのです。

 イエスマン人事に代表される好き嫌いに基づく「主観主義

 不公平な運用とプロセス無視による「結果主義

 人事評価の軽視・無視・実質的な不在である「人事評価制度の形骸化

 この中でもこれまでの古い評価方法は、上司の好き嫌いという主観による評価に頼りすぎていたというところが一番の問題です。主観主義の本質は「イエスマン人事」です。好き嫌いでイエスマンを評価してしまうことの弊害は底知れないものがあります。病気にたとえると「ガン細胞」のようなものです。

 歴史が語るようにイエスマンだけをまわりに集めた経営は必ず崩壊します。自分の地位を脅かすライバルを蹴落として、自分より能力の落ちる人間ばかりを登用していれば、社員は会社のトップの顔色を見ながら働くようになります。組織はそのトップ以下にしかなりません。経営が愚かであれば、会社という組織の上位下達を原則とする制度上、部下も愚かになり、会社は衰退に向かうプロセスを着実に進んでいくことになるのです。

 かつての右肩上がりの時代に必要とされた「イエスマン評価主義」の時代はとうの昔に終わりました。これからは、創造力を発揮し自己実現をめざそうとする人財をモチベートし評価する、新しい人事評価制度への脱皮が求められています。そしてこの変化に対応する処方箋が、「人が活きるプロセス評価」なのです。


(2009年04月17日)

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