AI導入前に整理すべき「人財育成の3つの課題」
社内に蓄積されたノウハウや属人的なナレッジの共有財育成の課題を、AIを活用して解決できる時代になりました。
フリクレアでも人財育成AIを目的とした“AIマネージャー”を開発し検証中です。AIマネージャーを開発するに至った経緯については次回ご説明しますが、今回はAI導入前に整理しておくべき人財育成の課題について3つの視点からまとめました。
人財育成の課題は細かくいうと切りがありませんが、大きくまとめると3つの課題に集約されます。①コンテンツの課題 ②標準化の課題 ③そもそもの本質課題 の3つです。以下それぞれの課題を深掘りし、箇条書きの形でまとめます。
✔ 教育コンテンツはテキスト中心だが、本を読まない人が増えた
✖ 組織論でいう2:6:2の上位2割の層は読んで実践してくれますが、中間層の6割、特に若手は本を読む習慣がないので、「良い研修資料を用意しても読んでくれない」という課題が指摘されています。
✖ その結果、理解度の差が広がってしまい、教育する内容(コンテンツ)の浸透にムラが出ています。
✔ スキルアップにつなげたい
✖ 一方、学ぶ側としては「社外でも通用するスキルアップにつながるような役に立つ研修を受けたい」と考えていますが、その要望にマッチしたコンテンツが少ないという課題もあります。
✖ タイパ思考なので、全体像や正解を手っ取り早く知りたいというニーズにも応えられていません。
✔ 研修プログラムが現場が求めるものになっていない
✖ 基本マナーや傾聴の仕方などについては、一般的なプログラムは用意されていますが、肝心の自社の仕事で成果を出すためにどうすればよいかということに関するプログラムがないというのは大きな問題です。
✖ 自社の独自の業務内容にフィットするように体系立てて整理したり、ハイパフォーマーの暗黙知をまとめた資料もほとんど存在していません。
✖ 研修に参加しても一般的な抽象論は教えてくれますが、「自分の仕事にすぐに役立つ実践的なことは学べない」「本当に学びたいコンテンツが少ない」という不満につながっています。
②標準化の課題
✔ 研修内容・プログラムがバラバラ
✖ 別々な教育担当者や外部研修会社がそれぞれの考えや思いで研修を行うので、1つひとつのプログラムは良いものもあるのですが、「内容がバラバラで連携が取れていない/統一されていない」という点も指摘されています。
✔ マネージャー向けの実践的な教育メニューがない
✖ 実は教える側もよくわかっていないケースも少なくありません。あるいは、わかっていても、言語化や資料化が苦手というマネージャーは少なくありません。
✖ 結果的に、抽象論・精神論・個人的な思い・好き嫌いで情緒的に教えるというパターンに陥りがちです。教育というと若手や中途のことを考えがちですが、実はマネージャー教育が一番の問題なのです。
✔ やるべきことが不明確で標準化されていない
✖ 「やるべきこと」 - どうやれば効率的に成果を出しやすいのかというところまで具体論まで落とし込まれ標準化されているケースはまれです。
✖ 指示している経営やマネージャー層も、どうすればよいか自分達もわかっていない場合も多いものです。
✖ するとどうなるかというと、良く言えば「社員の創意工夫と自発性に任せる」、悪くいえば「丸投げ・運任せ」というダメなパターンに陥ります・・・
✔ 根底にあるのは戦略・戦術の不明確さ、根拠のない目標設定
✖ やるべきことが不明確という課題の根底にあるのは、その上位概念である戦略や戦術が不明確で現場場任せだということです。これでは、現場に具体的指示が出せるはずがありません。
✖ 「売上・利益などの目標はあるが理論的な根拠はない」という冗談のような話が多くの会社で存在します。
✖ 本来明確にすべきことは放置したまま、経営者は流行りの抽象理念(パーパス等)に逃げがちですが、経営者の自己満足にはなるものの実業ではまったく役に立ちません・・・
③そもそもの本質課題
✔ そもそも“人財育成の基本の型”がない
✖ 「仕事のやり方は属人的で、やるべきことが標準化されていない」ということが、そもそも解決しなければならない本質課題です。
✖ 標準化されていないので、共通の尺度がなく仕事のプロセスも見えません。正しい指導もできません。
✖ だから、まともな人財育成(指導や研修)ができない、という3段論法的な話になります。
✔ 継続的な人財育成の仕組みがない
✖ 研修は単発の打ち上げ花火のようなもので、効果があるのは1ヶ月程度です(忘却曲線の話)。
✖ 「人財育成の基本の型」がないので、OJTでは上司ごとに教え方が違なります。上司も自分では体系立てて教えられたことがないので仕方がないのです。
✖ 人事評価と人財育成施策の方向性が必ずしも一致していないのも課題です。
✖ あまり指摘されませんが、人財育成がシステム的にDX/AIツールと連動していないという点にも注目すべきです。技術的にはDX/AIツールで指導・研修内容が実践できているかを見える化することは可能ですが、教育予算が十分ではないので、そこまで徹底できている会社はまだ少ないです。
✔ ナレッジ共有ができていない
✖ 「マニュアルや研修資料の管理がバラバラで、どこにあるかわからない」というのはほとんどすべての会社に共通する課題です。
✖ 良い資料があっても作って終わり。共有されない、徹底されない、更新されない・・・、そして使われなくなる、という悲しいパターンの繰り返しです。
✖ ナレッジ共有がなされていないので、やり方が人によって異なるのは当然です。個人的に工夫している社員もいるが「ノウハウの属人化」という課題は、どの組織も抱えているものです。
✖ そもそも、ナレッジ共有を推奨する文化や仕組みがないかぎり、この問題は永久になくなりません。
いかがでしたでしょうか? 自分の会社や組織の人財育成課題と共通するものがあったのではないでしょうか。
人財育成は永遠のテーマのひとつですが、AIの登場により飛躍的な変革や改善が期待できるようになりました。
しかし、AIはこれまでのITツール同様、あくまでもツールのひとつです。人財育成でAIを活用するにあたっては、どういう課題を解決すべきなのかについて、まずこのように整理した上で目的を明確にしなければなりません。
今回はAI導入前に考えなければならない「人財育成の3つの課題」についてまとめました。次回はフリクレアが”AIマネージャー”を開発するに至った経緯についてご説明する予定です。
今回も最後まで読んでいただきまして、ありがとうございました。
「人財育成用の“AIマネージャー”に興味がある」「AIを活用してナレッジマネジメントを実現したい」などの課題意識をお持ちの方は こちら からご連絡ください。
⇨ コラムへのご意見やご感想は info@flecrea.com へ
(株)フリクレア 代表取締役
山田和裕
(2025年09月25日)