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コラム

人財育成AI開発までの道のり

 

<このコラムのAI要約>

 

このコラムはフリクレアが提唱する人財育成のための“見える化AI®”の開発背景と、その革新的なコンセプトを解説しています。従来のテキスト形式の業務マニュアルは若手社員に浸透しにくいという課題がありましたが、「読ませる」という発想をやめて、AIに「尋ねる」形式への転換を提案しています。

また、AIの回答精度を高める鍵は、ハイパフォーマーの暗黙知を言語化し、体系的に整理したナレッジベースを構築することにあります。この手法を導入することで、長年の課題であった社内のナレッジマネジメントも実用的なレベルで実現できます。

 

 

<コラム本文>

 

フリクレアでは人財育成を目的とした“見える化AI®のサービス提供も行っています。パイロット検証段階(PoC Proof of Concept)のところが多いのですが、今回のコラムではこれまでの過程を振り返りつつ、コンセプトやシステムイメージについてまとめました※見える化AIは商標登録出願中です。

 

見える化を進める中で認識した課題

 

フリクレアが行うプロセスコンサルティングの成果物として作成するのは”見える化ツール“です。見える化ツールは、プロセスシートと標準プロセスの手引きで構成されます。

 

プロセスシートは、A3一枚の業務プロセスの俯瞰図。そして、標準プロセスの手引きは、各プロセスで実践してもらいたいノウハウや気をつけるべきポイントの詳細をまとめた小冊子です。

 

ハイパフォーマーの社員の属人的なノウハウや暗黙知を言語化して、わかりやすく見える化することができるので、大手・中堅企業を中心に着実にニーズがあり、これまで100社以上に収めた実績があります。

 ただ、ひとつ悩みがありました。

今の見える化ツールはテキスト中心で、組織の上位2割は読んで実践してもらえるものの、組織論の2::2の中間層6割、特に「若手に読ませるのは難しいのではないか?」と何社かの顧客から指摘されていたのです。

そこで、まずは見える化ツールの見やすさ、読みやすさを改善しようとしました。

 

光明をAIに見い出す

 

しかし、その検討を進める中で、「見やすくするためにビジュアル化を図っても、文章を読ませるという点は変わらないので、根本的な解決につながらないのではないか?」と疑問を持つようになりました。

 

そもそも見える化ツールの文章は10万字くらいになり、本1冊分に相当します。

詳しいノウハウや現場の悩みに対する解決の正解やヒントが書いてあるのですが、文字数がそれなりにあるため、書いている本人ですらどこに書いてあったのか思い出せないこともあります。

ましてや、文章を読むことに慣れていない人にとっては何をか言わんやです。

 

そんな中、昨今の生成AIブールが到来。それをきっかけに、AIを使えば抜本的な解決ができるのではないかと思案するようになりました。 

 そして、その過程で思いついたのが、“読んでもらうという発想を捨てること”でした。「ユーザーは見える化ツールを読まなくても、AIに尋ねれば答えを教えてくれるやり方に切り換えた方が早いのではないか?」と閃いたのです。

 

(図)「読む」から「尋ねる」へ: 新しいAI人財育成のかたち

人財育成AI開発までの道のり

 

オープンデータではまともな回答は得られない

 

見える化ツールは文字が多いことが欠点だと考えていたのですが、災い転じて福となす。見える化ツールで詳細に言語化したテキストが、AIに引用させて回答の精度を上げるために最適なナレッジデータ」であることに気づきました。

 

普通のAIでは自分の仕事では使えない一般的なフワッとした回答しか得られません。プロンプトをいくら工夫しても、ネット上の一般データ(以下“オープンデータ”)には自社の情報は含まれていないからです。

 

とはいっても、社内に点在するバラバラの資料を集めて、学習用のデータとしてアップロードするだけでは不十分です。そういったデータには実務マニュアルなどは部分的に整理されていますが、「どうやれば成果を上げやすいのか」「できる社員はどうやっているのか」などの、学びたいと思われるデータはあまり含まれていないからです。

 

ユーザーを学ぶ気にさせ、AIの回答精度を上げるためには、まず自社の業務内容を整理する必要があります。会社や組織がこうやって仕事を進めてほしいというポイントや、効率的なやり方を整理して、プロセスの見える化(業務の棚卸し・標準化・資料化・共有化)を行わないかぎり、どんな性能のよい最新のAIを使っても導き出される回答には限界があります。

 

AIブームに振り回されて、「とりあえず使ってみましょう」というささやきに何も考えずに乗ってはいけません。面倒くさいと感じるかもしれませんが、何事も事前準備がその成否を決めます。それを怠っていたこれまでのITツール導入での失敗経験を思い出してください。

 

AIもしょせん新しいツールのひとつにすぎません。しかし、これからはAIを使わないという選択肢は考えられないのです。AIを活用せず従来通りのやり方を続ければ、競合に負け他業種からの新たな侵略者にシェアを奪われることになります。

 

AI成功の鍵はプロセスの見える化

 

ポイントなので繰り返しますが、AIの回答精度を上げるためには、まず“プロセスの標準化・見える化”が必要です

 

AIの回答精度を上げるという話をすると、「プロンプトを工夫する」「最新のAIモデルを使う」「チューニングを行う」といった話になりがちです。

しかし、実際はこれだけでは不十分で期待する回答精度は出ません。これが一般的なオープンデータだけを使う場合のAIの限界です。

 

仕事でAIを活用したければ、回答させたい内容の社内資料をAIに参照させる必要があります。社内資料はマニュアルや業務規定だけでは足りません。

できる社員やハイパフォーマーが行っている、属人的な知識や暗黙知は含まれていないからです。暗黙知というものは実は本人ですら言語化が難しいことが多いので、その知識領域までAIに参照させたいのであれば、専門家の助けを借りる必要があります。

 

そこで、ハイパフォーマーの属人的なノウハウや暗黙知を言語化し、体系立てて整理する“見える化ツール”を作成して、AIが正しく回答できるようにAI学習用のナレッジベース(教科書のようなもの)をまず用意するのがAI導入成功の鍵となります

 

ナレッジ共有の課題を解決

 

人財育成に求められる資料は見える化ツールだけではありません。それ以外に社内に存在する関連資料も含め必要なドキュメントをAIに学習させれば、「社内のナレッジ共有」にもなります。

長年の課題だった「ナレッジマネジメントをどう実現させるか」という課題も解決できるので、一石二鳥であることにも気づきました。

 

ナレッジマネジメントについては、その必要性が指摘されるようになってからすでに四半世紀が経ちますが、残念ながらこれといった使えるツールが存在しませんでした。

理由は「複雑なフォルダ構造」と「使い物にならない検索機能」がネックになっていたからです。せっかく社内の貴重な資料をフォルダにアップしても、何重にも階層化されたフォルダ構造を深掘りしなければならないので、該当ファイルを探すには手間がかかっていました。検索しようにも、検索機能が使い物にならず、せっかく集めた資料が活用できていませんでした。

 

普通の感覚だとGoogle検索レベルが当たり前ですが、大企業であっても自前で実用に耐えうる検索機能を実装することは費用・技術的に難しいのです。

「会社のノウハウを共有しよう」という意見に反対する人はいませんが、このような運用の難点からうまくいっていなかったナレッジマネジメントも、AIの搭乗でにわかに実現が現実化してきました。

必要十分なデータが用意できればという条件付きですが、社内情報共有という永遠のテーマも解決できるようになったのです。

 

長くなったので、今回はいったんここで止めておきます。次回は少し技術的な面にも少し踏み込んで、見える化AI®で採用している“RAG”という技術について解説する予定です。

 

見える化AI®については以下のページで紹介していますので、詳しく知りたい方はこちらをご覧ください。見える化したプロセスをAIを活用して人財育成支援を行います

 

今回も最後まで読んでいただきまして、ありがとうございました。

「人財育成用の“見える化AI®”に興味がある」「AIを活用してナレッジマネジメントを実現したい」などの課題意識をお持ちの方は こちら からご連絡ください。

 

⇨ コラムへのご意見やご感想は info@flecrea.com 

 

()フリクレア 代表取締役

山田和裕


(2026年01月26日)

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